前回の「本島1周ツアー」に続いて、今回はこれも今年初めて一般向けツアーとして実施した「本島―慶良間横断ツアー」のことを紹介しよう。
8月18日午前10時、瀬長島を出発。天気は晴れ、南西の風6-8m、波の高さ1.5mという絶好のコンディションだ。参加者は夫婦1組と男性2人、それに僕を含めたガイド1人の計5人。
初日は前島までの約25キロを漕ぐ。スタートから1時間、チービシを過ぎたあたりから予想通り潮の流れが速くなる。さすが外洋だ。ちょっと気を抜くと北に流される。沿岸沿いを漕ぐときとは違う緊張感。それ以上に外洋の開放感はたまらない。
初日の昼食は洋上ランチ。漕ぐ手をしばし止めて、素早くおにぎりやカロリーメイトなどで済ませる。目標の島影は見えているんだけど、なかなか近づかない。振り返ると沖縄本島の大きさも、あんまり変わらないんだなぁ、これが。
出発から5時間でようやく前島に到着。ここには昭和37年まで人が住んでいたので、昔の桟橋や住居跡が残っている。
シーカヤックでいく無人島でのキャンプは必要最低限の装備しか持っていかない。明かりは1人1人のヘッドランプだけ。食事が済んだらヘッドランプも消して、月明かりの下で過ごす。島の砂浜には絶えず風が吹いていて夜は快適。蚊もいない。遠くに見える本島の夜景は「洋上に輝く宝石」とでも言おうか。空には満天の星。無人島でのキャンプほどぜいたくなキャンプはない、と僕は思う。
翌日は渡嘉敷まで漕いで港に上陸し、ビールと泡盛、氷を仕入れる。これらも必要最低限の装備(?)の1つだ。港から東海岸沿いを漕いで北上。北端に近い海岸にある滝で天然のシャワーを浴びる。塩分を洗い流すととても気持ちいい。
風と波が強くなってきたので、2日目のキャンプ地は渡嘉敷島の北に浮かぶ儀志布島から渡嘉敷島と阿嘉島の間にある安室島へ変更する。ここも無人島だ。島の東側でシュノーケリングを楽しむ。このあたりは、潮の流れが速いせいかサンゴの白化現象もあまり見られない。色とりどりのサンゴの群生は見事だ。
ところで、慶良間島には面白い名前の無人島が多い。儀志布(ぎしっぷ)島、安慶名敷(あげなしく)島、向楽(むからく)島、そして傑作なのが伊釈加釈(いじゃかじゃ)島。「いじゃかじゃ」なんていったいだれがつけたんだぁ?
3日目は阿嘉島、嘉比島と周り、座間味の阿真ビーチにあるキャンプ場でキャンプ。ここは一般のキャンプ場なので、周りのグループはみんなフル装備だ。自分たちのテントサイトがなんだかわびしく見える。でも僕たちには「那覇から漕いできたんだもんね」という自負がある。
4日目の最終日、帰りは座間味からフェリーを利用する。シーカヤックは貨物として乗せることができるから便利だ。
シーカヤックで沖縄本島から慶良間へ渡ることは決して冒険じゃない。それはシーカヤックの旅の1つなんだ。
(1999年9月)

