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Vol.08 「キノコ岩(奇岩)巡り」

沖縄の海岸線の特徴的な景観の1つにキノコ岩がある。

根元が細くくびれたキノコ岩は琉球石灰岩が長い年月を経て、波や風、貝などの浸食によってできる。ちなみに、1年間で侵食されるのは3ミリ。シーカヤックであちこちにあるキノコ岩を巡るのもなかなかいいもんだ。

僕はこれまでに、シーカヤックで本島1周を6回やっている。おかげで、ほとんどの海岸線は頭の中にインプットされているんだ。

夏の間によく行く恩納村谷茶から瀬良垣にかけての海岸線は、実にいろいろな形をした奇岩がある。2つ並んだ夫婦岩、ウサギやゴリラに似た岩、2重に重なっている岩は、お腹がすいているとハンバーガーに見えたりする。この辺りは毎日行っても飽きないコースだ。

本部半島では、備瀬崎から今帰仁のウッパマにかけての海岸線もキノコ岩の多いところ。漕ぎ疲れたら岩陰に上陸して、何にもしないでボーッとしているのは、最高のぜいたくである。

山原の東海岸、東村天仁屋崎から名護市の安部オール島にかけての景観も実にいい。約3キロの海岸線には人工物がほとんど無いのだ。その中で天仁屋崎近くにあるパン崎というトンガリ頭の奇岩は、シーカヤックから眺めていると、思わず手を合わせたくなる岩だ。

東海岸をずっと南下して、与那城町の浜比嘉島の西側はキノコ岩のメッカと言っていい。そのたくさんのキノコ岩の間をシーカヤックで通り抜けるのも楽しいものだ。ここにあるキノコ岩の1つに僕は「博士岩」と名付けた岩がある。堂々としていて実に威厳がある。

以前は知念村から玉城村にかけての海岸線もキノコ岩がたくさんあった。しかし、近年、海岸線の工事や湾口の拡大工事などによって、自然の中にあるキノコ岩は無くなりつつある。かろうじて新原ビーチに残っているぐらいだ。

こういうキノコ岩を近くで見ていると、ハトやアジサシの巣があったり、岩のくぼみのわずかな土のところに植物が生えていたり、自然のたくましさを感じさせられる。これもシーカヤックならではの発見だろう。

僕がシーカヤックでウミアッチャーを始めてから、9年になろうとしているけど、この間にも沖縄の海岸線はずいぶん変わってしまった。コンクリートで固められて苦しそうなキノコ岩や、湾港拡張工事で漁港の中に閉じ込められてしまったキノコ岩を見ると、かわいそうな気がしてくる。

今から25年から30年前、本島には自然の海岸線が70パーセントくらいは残っていたと思う。今ではどうだろう。シーカヤックを漕ぎながら見た限りでは20パーセントくらいしか残っていないんじゃないかなあ。

長い時間をかけて変化していく自然のリズムと、すさまじいスピードで自然を変えていく人類。その狭間を感じながら、シーカヤックからの観察を続けていきたいと思うこのごろである。

(1999年11月)


2002年04月10日(水)