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Vol.09 「冬の海でスキルアップ」

夏、あれほどにぎやかだったビーチも、ミーニシが吹き始めると人影はまばらになる。

先日、1DAYツアーで恩納村の海を漕いだ。夏場、ダイビングをする人でいっぱいの恩納ポイントも随分と静かだった。冬場の方が海の透明度は高いから、ちょっともったいない気もする。

もちろん、ダイビングが大好きな人は冬場でも潜っていると思う。

シーカヤックも冬場は決してオフシーズンじゃない。むしろ、すでにシーカヤックをやっている人にとっては、技術を高めたり、海への知識や経験を深めるには絶好の季節なんだ。

真冬の海でも沖縄の海は水温が二十度を下がることはない。とはいえ、防寒の装備は必要だ。まず上は化繊のアンダーウエアに防水性のある上着(アノラック、レインウエアなど)、下は同じく化繊のアンダーウエアに化繊の短パンを重ねる。ちょうど股引の上に短パンを履いているようなスタイルになるんだけれど、それほど格好悪いものではない。

何故化繊のアンダーウエアかというと、それは吸水性が低いから。水をよく吸う木綿のウエアは着心地は良い反面、なかなか乾きにくいから、寒い時のアウトドアには向かない。

水や汗で水分を含んだウエアを着たままで冷たい風に吹かれると、体感温度はぐんと低くなるからだ。その点、アウトドア用の化繊のアンダーウエアは水を吸収しにくい上に、素早く蒸発させる性質があるんだ。

冬の海は風が強く、波も高い日が多い。そんな海で漕ぐと自然に、力強く安定したパドリングが身についてくる。静かな海でのんびりするのも良いが少々荒れた海を漕ぐのもそう快感がある。

たとえて言えばオフロードでマウンテンバイクを乗りまわすような感じだろうか。

シーカヤックはもともと極北の海で生まれた船だ。冷たい海でひっくりかえったら、数分で意識はなくなる。

そのために編み出されたのがロールという技。

シーカヤックから抜け出さずにパドルをテコのようにつかっておきあがる方法だ。この技術を身につければ荒れた海で漕いでいる時の安心感が全然違ってくる。

一見難しそうに見えるけど、練習を積めばだれでもできるようになる。冬場は長距離のツアーが出来ないぶん、しっかりとパドリングを磨く。そうすることで夏場のツアーが余裕をもって楽しめるというわけだ。(ちなみに僕のショップではロールを含めたパドリング技術を身につけるためのスクールも開いているので、興味のある方はぜひ参加して欲しい)。

しかし、トレーニングになるといっても限度がある。

風速十メートル、波の高さ2.5m。これ以上になったら、僕は家でシーカヤックの手入れをすることにしている。岩でこすれた傷を埋めたり、ワックスをかけたり、そんな作業をしながら頭のなかでウミアッチャーする。

「瀬底島のおばぁんとこのソバ食いたいなあ,慶留間島のおじぃは元気かなぁ、今年の夏生まれたウミガメたちは無事に育っているかなぁ、ザトウクジラは北の海からもうこっちへ向かっているんだろうなぁ。」

そんなことを考える時間もまた楽しいものだ。

(1999年12月)


2002年04月10日(水)